12.給与を遡及改定増額する方法
Q.定時株主総会で決議された役員報酬の増額分を期首まで遡及して支給したものは損金にできますか。損金にできないのであればいい方法はありませんか。
P.期首までの改定差額分を残りの期間に上乗せして支給する、もしくは支給する旨をあらかじめ税務署長に届出して損金算入を図ります。
1.改定役員報酬を遡及支給する場合
これまで、法人税の基本通達では、定時株主総会等で決議された役員報酬の増額改定差額分を期首まで遡及して一括支給するものについては、役員報酬として損金算入を認めるとしていました。
しかし、今年度の税制改正で、政令において、事業年度開始の日から3月を経過する日までに改定された給与のうちその改定前と改定後の支給額がそれぞれ同額のものは損金算入を認めるが、それ以外(改定差額分の一括支給分など)のものは損金算入を認めないとされました。役員報酬の増額差額分を期首まで遡及して一括支給するものについては、損金算入が認められなくなるものと思われます。
2.対応策
したがって、今後は、@期首までの改定差額分を残りの期間に上乗せして支給する、もしくはA支給する旨をあらかじめ税務署長に届出するなどして損金算入を図っていくこととなりましょう
3月決算、5月株主総会という場合は、職務執行期間を6月から1年間、増額差額相当額の給与の支給時期を6月、支給額は期首までの増額差額相当額とする届出を5月中に所轄税務署長に届出すれば、増額差額相当額を損金に算入することができます。