30.役員から金銭を借り入れる場合
Q.当社では、役員から事業資金を借り入れようと思っています。無利息でも問題ありませんか。また、返済しないときはどうなりますか。
P.役員については、無利息貸付けであっても利息の認定は行われません。また、会社においても支払利息と支払利息免除益が相殺されますので課税関係は生じません。
1.無利息借入れの取扱い
会社が役員から資金を借り入れるということはよく行われますし、また、利息を取らないということもよく行われていますが、税務では、次のように取り扱われることとされています。
会社が、役員に対して金銭を貸し付けた場合は、相当の利息を収受しなければならず、無利息又は非常に低い利率による利息しか収受していないときは、通常収受すべき利息と実際に収受した利息との差額は、その役員に対する給与として課税されます。(Q29参照)
しかし逆に、会社が役員から金銭を借り入れる場合は、相当の利息を支払わなければならないということはなく、無利息であっても特に課税上は問題になりません。
これは、
@個人については、収入のないところに収入の認定課税は行われないとされていること、
A会社については、支払利息免除益と支払利息が相殺され所得に影響しないことから、問題が生じないのですが、その金銭の貸借が事業目的ではなく、租税回避目的であり、同族会社の行為計算否認の規定に該当するという場合には課税問題が生じますので、注意が必要です。
2.返済計画のない借入金
このように、利息は無利息でも問題になりませんが、利息を支払わなくていいからといって、借入金の元本を返済しないでもいいというわけではありません。
金銭の貸借ですから、当然、返済計画に基づいて実際に返済をしていかなければなりません。
金銭消費貸借契約書も作成せず、利息も支払わず、具体的な返済計画もなく、借入金の返済もないようなときは、事実認定により、会社が、役員から借入金相当額の贈与を受けたものとみなされる場合がありますので、このような認定を受けないためには、返済計画に基づく返済の実績を残しておく必要があります。
なお、業績が悪いときは無利息で、業績がよくなったら利息を払うという方法は、利益調整とみなされ、役員に対する給与と認定される場合がありますので注意してください。
役員給与と認定された場合には、事前に税務署長に届出をしていない限り、損金不算入となります。