9.名目役員に対する給与の取扱い
Q.自分の妻を取締役にしようと思います。専業主婦の妻に給与を支給しても税務上、問題ありませんか。
P.会社の経営に従事しないのであれば、役員給与とすることはできません。
1.損金算入できる役員報酬
法人税では、役員給与について、定款又は株主総会等の決議によって、あらかじめ定められた支給基準に基づいて支給されており、その給与の額が適正であると認められるものについては、損金の額に算入できるとしています。
そして、給与の額が適正であるかどうかは、次の実質基準又は形式基準によって判定し、その基準を上回る場合には、その上回る部分の金額(いずれの基準にも上回る部分の金額がある場合には、いずれか多い金額)について損金の額に算入しないとしています。
2.役員とは
ところで、ここでいう役員とは、会社の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人等、会社の経営に従事している者をいうとされていますので、会社が支給する金品が役員給与として認められるためには、支給を受ける者が、まず「会社の経営に従事」していなければなりません。
「会社の経営に従事」しているかどうかは、特に法令等で判断基準が示されていませんが、次のようなことから実質的に判断することになります。
@会社の業務執行の意思決定に参画しているかどうか
A経営上の重要事項について決定権を有しているかどうか
Bそれらについて責任を持って職務を遂行しているかどうか
3.名目役員に対する報酬
つまり、奥さんに対する給与が役員給与に該当するためには、奥さんが会社の経営に従事していなければならず、従事していないということであれば、奥さんに支給する給与は役員給与としては認められず、単にあなたの給与所得の分散を図るものであるならば、あなたに対する給与として認定されることとなります。
また、非常勤役員として経営に従事するということであれば、その職務の内容、職務の従事度合、役員としての経験年数、会社の業種・規模・所在地、会社の収益の状況、使用人に対する給料の支給状況、同種同規模法人の役員給与の支給状況等を総合的に勘案してその給与の額が適正かどうか判断され、適正と認められる金額については、損金の額に算入されますが、過大と認められれば、その部分の金額は損金の額に算入されません。